1. 呆 Akire

    「あなたがバイパスしているチャンネルがこの提起で開くことを期待する」

    prologue

    音楽体験の話。

    人が変われば曲の聞こえ方も変わる。今、今このときに、聴き方を変えることができるだろうか。変調と祈りの物語というチャンネルをこのプレイリストに込める。あなたが持っているフィルターを超えて、いつもと違った音楽体験をあなたに提供することを、僕はこのプレイリストに期待している。

    参考プレイリスト
    https://kiite.jp/playlist/vriXWEedit

  2. 芥田レンリ

    あ 咲いた花が枯れて 地面に還るとき
    番えない私は何を残せる?
    これが最後になるのなら 貴方に伝えれば
    なんて願うことも これでおしまいね

    act1 消失

    鳴り続ける遮断機の音。

    貴方を「私」として僕はこの曲を聴いてみる。私はもういらないのね?「私」にとって私は歪んでいて、歪で、「私」は私を必要としていない。私は異常で、美しい「私」にはいらない存在。

    私痛みには強いはずなんだ それでも名残惜しいの
    悲しくないとさ 信じていたいの いたいの いたいの
    私幸せの意味を貴方に大事に託したいの
    いつかは貴方に届くように 願いながら空を舞うの

    「私」は幸せなんだろうか。私は「私」の幸せを願っている。

  3. 園端石

    いいの
    いいの
    ただ赦そう
    また赦そう
    いいの
    いいの
    爪先から
    私から
    通り過ぎていく
    霧になってく
    目を、離さないで。

    act1 消失

    僕はこのコメントを書きながら自己ー他者の関係性を自己ー自己に置き換える作業をしている。僕はどうしても自分の欠落した部分を他者に補ってもらおうとする。その切実さが、他者を困らせる。僕はまだ僕にできることがあると思う。

    苦しんでいるのは私であって、私を見ている私は私の手を離してしまえば私は苦しみ続ける。僕はそうやって僕を見殺しにしてきた、通り過ぎてきたとしよう。もう一人の僕の声を、僕はこの曲に聞く。

  4. さらね / Sarane

    花を摘むたび 風は遙かを遠くを指し
    その先には 静謐に光る水面があった 
    揺れる花弁が 指の隙間から
    ひとつ またひとつ
    水脈へと吸い込まれていく

    act1 消失

    オーフィリアがモチーフになっているこの曲、まずは『ハムレット』に関心を持ってみてほしい。主人公のハムレットの孤独、狂った世界。オーフィリアの祈り。それぞれの人物がそれぞれのオモイを持って生きている。

    誰かの理想論が 机上の空論に散ってゆくのは
    私の祈りだと気づいていたんだろう

    誰かの理想論が誰かを傷つける。誰も傷つかない、誰も苦しまない世界を彼女は望んでいたのだろうか。その希望の大きさに絶望したのだろうか。兄レアティーズが墓地でオーフィリアの墓穴に入りこう叫ぶ。

    この土よ、しばし止まれ!
    もう一度この腕に妹を抱かせてくれ。
    さあ、墓よ、生きた者と死んだ者とを一つに埋めてくれ、
    そしてこの平らな地に、山を築きあげるのだ。
    ペリオンの山を越え、青きオリンポスの頂をも越えるほどに!

    一人の人間の死が、墓石などではない、山となるほどの意味を持っている。その直後、レアティーズはハムレットに呪いの言葉を浴びせる。「お前が、オーフィリアを殺したんだ」と。オーフィリアの祈りは届かない。水脈に、大きな流れに飲まれて、溶けてしまう。レアティーズはハムレットを恨む。そうして繰り返していく。

    汚れた街に泪の音を
    遠く、痛み、聴く。

    聞こえるだろうか。

  5. 世界くんと征服ちゃん

    頭が悪くなる 霧のせいで
    容易く祈りたがる 神の下
    椅子を取る 負けてもいい
    ほら あげる

    act1 消失

    僕はこの曲に作り手が見た現実を想像する。椅子取りゲーム。疎外の物語。自由の名の下で繰り広げられるデスゲーム。三つ編みだった少女が、ノイズの後に髪を解いた少女になる。別人なのかわからない。片足を膝に乗せて、女王様のような。それでも髪はボサボサで。もしこの物語を一人の少女が椅子取りゲームで誰かに席を譲らせるような力を持っているとする。歌い手は、椅子を彼女に「あげる」。誰かが彼女に譲らなくてはいけない。そんな重苦しさが霧のようにまとわりついた椅子取りゲーム。

    「想像通りにまた続いてく 壊れたあなたの顔 見惚れてた」

    おさげの少女に何があったのか。続いていく椅子取りゲームの中で、彼女は壊れてしまったのだろうか。歌い手は、彼女が狂っていくのをただ見ていた。見ているしかなかったか。彼女が壊れた後で、気がついたのか。被害者が加害者(復讐者)になる物語なのだろうか。

    • 1
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  6. 明瞭ふあん

    あの日ぼくはいなくなった。
    ついに消えていなくなった。
    それがきみの願いだと、信じて疑わなかったから。
    消えた先の景色は、案外何も無いもので。
    困ったことにぼくはもう、意義を見失いました。
    存在、していることが。何より恐ろしい。

    全てが空想で間違いと知ってた
    永遠を願う馬鹿はまだ蔓延る
    きみが望むモノは、全て無くなってしまったよ。
    居場所なんて何処にも無いと、気づくのが遅すぎたんだ。

    act1 消失

    どうしたらよかったんだろう?どうすればいいんだろう?消えたい。君の願いだなんて言ったのは僕の妄想だ。僕が消えたかったんだ。どうしたらよかった?他に何ができたっていうんだ?

    「未だに理解出来ないのか?」

    • 3
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  7. poki

    幕間劇

    お猿さんですか?あー、あなたは豚ですか。そういえば千と千尋の神隠しで大人は豚にされていましたね。ん?あれもういないぞ?逃げた!?

    • 3
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  8. marasy

    「ケツに火がつかなきゃわかんないか。そっか」

    幕間劇

    こんにちは。僕はお猿さんです。ウキー!いや、猿以下でしょう。

    人間になるにはどうしたらいいでしょうか。僕はまだよくわかっていません。
    ケツに火がついてもどうしたらいいかわからないんです。ウキー
    でもいろんな人がくれた言葉をヒントに僕なりになんとかしようとしてるんです。ウキー
    もう少し時間をください。ウキー
    できれば長めに待ってください。ウキー

    はいはいはいはいはい

  9. OSTER project

    馴れ合いのエンパイア
    entire主義の社会には
    居場所ないってさ
    地を張って高台を取れ
    スナイパー
    恨み込めてfire!!

    幕間劇

    お猿さんですか?あー、もう無理ですね。バキューン!

  10. tepe

    幕間劇

    お猿さんですか?あー、いただきまーす!いやぁ、お腹いっぱいです。では、踊りますか?あ、あなたももう、私が食べてしまったんでした。

  11. りみす

    崩れるイメージ結果と反比例する理想
    利口に生きろと泥を投げるお前に何が解る
    おぞましく映す平穏の奥底へと
    まだ慈愛が欲しいのなら己と向き合い罪を唱えよ

    act2 影

    色々な影がある。僕ならば駄々っ子の欲しがりっ子の姿かもしれない。いくら影が頑張っても、渇きは続く。慈愛とはなんだろう。僕が僕の影に向けるものなのだろう。小さな子どもの頃にもらえなかった欠乏感を、今、大きな子どもになった僕は、あの頃のままの僕を前に、あの頃のままの僕が犯してきた罪を前に、何ができるだろう?「ちょ、お前、また出てきて。どうした?」。この曲では「いい子ちゃん」な影。結局それは、何かを欲しがって作り出した姿。「君は君なりに頑張ってきたんだね。今まで僕は君がいたから頑張れた。けど今は、ちょっと、僕が頑張るから。休んでてもいいよ」

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  12. いおぎりょう

    「手に入れるものすべてが無価値なのはなぜか。叶えたい夢は見失ってしまった。お前の耳元で囁く何か。その影が俺を妬いて食い尽くす」

    act2 影

    誰かに造られた影。何に?この壊れた世界が作り出したアルゴリズムが生み出す影。誰かが規定してくる自分。「それに何の価値があるの?」靴が泥まみれになるまで歩き続ける。それでも影はついてくる。青く燃える炎にほだされて浮かび上がる。これで良かったのか?過去を失って?(サンクコストが絡んでいる)。

    「俺の影は過去に縋り泥の靴はそれを蹴るのさ」

    SOMBRA ROJAは英訳するとRED SHADOWらしい。うりゃーーーーー!!!!!!!

    参考動画
    https://www.youtube.com/watch?v=WlFf-xqa8ic

  13. dama

    さようなら 影の中の光
    ありがとう 光の中の影
    天国への切符を犠牲にしてでも
    知りたいことがあっただけさ

    act2 影

    虚しい。意味がない。どうして生きている?僕はそんなことを高校(鬱)時代に「考えて」いた。今日まで生きてわかったことがある。天国に行こうとして、僕は転げ落ちたのだった。もう天国なんて僕は行こうと思わなかった。僕にはもうそれに、意味を見出せない。だったら今、どうして生きているんだろう。

    ーーー

    たった一つだけでいいから
    意味のない物語に意味が生まれていれば
    他には何も要らなかった

    あの汚い海を見ようって言ったから
    その日まで生きている
    そういう糸が連なってるだけさ

    意味がなくても、価値があるなら。僕らは生き続けて、最後に、命の意を味わえたらいい。僕は今、そんなふうに「感じて」いる。

  14. 蝉暮せせせ

    さまよう魂は錆びついて君のカメラは綺麗なままで月を探している
    「なんで泣いてるんだ?」
    「私泣いてるんですか?」
    光ない瞳は僕を映していた
    君の死に場所は教えられない
    僕と違うから教えない
    理を知っても抗ってくれ
    僕のことなんて忘れてしまってくれ

    君の小さな声を聞き逃さなかった
    「おいていかないで」

    act2 影

    君と僕の死場所は違う。ただ、今は、その手を引いて欲しい。誰かに?誰も「君」になってくれないかもしれない。月を眺めている僕の瞳に僕が映るように僕が僕の前に姿を現したなら。僕は僕の涙に気がつけるだろうか。夏の最終出口。夏は終わる。また夏が来る。もう一度僕は、僕に出会う。また夏がやってくる。何度も、何度でも。僕は僕に、笑いかけられるだろうか。僕は出口を前にして、僕の声を聞く。君が守っている、扉の前で。僕はその扉を開けられなかったんだ。

    「おいていかないで」

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  15. tellwalk

    貴方みたいに為りたくて 僕は僕の貌を棄てたんだ
    何者にも為れない儘 腐ってしまうのが怖かったの
    怪しく滲む電灯が ただ前へ進めと誘うから
    呪いのような影を纏っていく それが僕だったんだよ

    貴方の眼には 最期の光景がどう視えたの
    花束だけが 僕の代わりにずっと問いかけてた

    始まりの意味が模倣でしかなくたって
    今でも理由を探し続けている

    さよなら 僕の影法師が笑う
    ここからは一人で歩くから

    act2 影

    全部歌詞に書いてある。

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  16. 椎乃味醂

    迷い方を忘れてしまっている
    まだ知らない君がいる

    act2 影

    影に飲まれていると、僕らは僕らがわからなくなる。僕らは僕らのことをどれだけ知っているだろう。僕らは僕らにどれだけ気づいているだろう。僕らはまだ、僕らのことをよく知らない。僕らが僕らをどうやったら知れるのか。僕らは忘れてしまっていないだろうか。僕ら自身のことを。僕らは僕らのことをどうやって知ったらいいのかすら、僕らは忘れていないだろうか。

  17. しゃいと

    感動的で盲目的で
    永劫、素敵な解で満たして
    官能的で冒涜的で煽動的な
    愛を謳ってくれ

    急速に蔓延、インフォデミック
    歯車も制御不能な合間に
    ほら誰も彼も目を
    閉ざしてしまっている
    快楽に大概価値はないが
    指先ひとつで眩む世界で
    最低なステップ刻んでしまえ
    さぁ感染者よ

    act3 虚構と現実

    僕らは僕らにとって都合のいいように情報を得る。その都合の良さが、果たして「健康的」だと言えるだろうか。「感染者」にとって都合のいい虚構の世界は、怒り、憎しみ、あるいは喜びで溢れているのだろうか。怒りが欲しければ怒りにアクセスする。喜びが欲しければ喜びにアクセスする。何でもあるよ?「やさしい歩き方」を忘れて、Tap-Tap-Tap。

  18. ノイ

    鋭く鋭く仕組まれたシステムと
    あざとくあざとく練り上げたコンテンツの
    裏側に透けた葛藤さえも味わうわ

    アルゴリズムに魅せられて舞い踊る
    選ぶ前に選ばされた奇跡を喰らい
    手持ち無沙汰を型通り埋め尽くす
    私のため磨かれた
    アルゴリズムの支配下で巡り合う

    act3 虚構と現実

    僕らはほとんど選ばされている。選ぶときにも、選ぶという重労働を嫌がる傾向がある。今日の晩御飯どうしよう?与えられた選択肢を超えるだけの重大さが、ネットの世界に、現実の世界にあるだろうか。666曲レビューはアルゴリズムへの抵抗であったし、そのおかげで巡り会えた曲もある。システムの外に出ることは大変かもしれない。けれども、そこで得られた出会いは、きっと何かの価値を持っていると、僕は信じている。

    ところで、一番強いアルゴリズムは、自分自身なのだと、僕は思うのだが。

  19. すけありーぐりむ

    あぁ チャラけた妄想ごっこに節目
    もう そろそろ承認欲求抑えて
    さぁ 軽々バズりましょ
    ドキドキ!バーチャルタイム
    新たな通知は0件

    あれだけ楽しくやれてた活動が
    今ではアタシを蝕むエージェント
    期待した言葉も求めてた甘さも
    全てがアタシを狂わせる

    act3 虚構と現実

    夢は虚構でもある。夢を追いかける。夢を諦める。どこまでが現実なんだろう。もう境界なんてないんだろうか。現実というものは、夢を諦めて、また別の夢へ飛び込む間、束の間佇む場所なんだろうか。誰かの夢に流されているだけなのだろうか。これが自分の夢だと、紛れもない自分の夢なのだと、本当に私が欲しいものなのだと言えるだろうか。間違って間違って間違えながら、何度も、何度でも、現実に戻りながら、また別の夢に飛び込んでいくんだろう。か。(あ、通知きてるかな〜♪

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  20. 春浅葱

    いつから増えた腕のファッション
    踊る阿呆に見る阿呆
    傷から群れてるディスカッション
    無益さを知らず語る野郎
    愛して、愛して、愛して、愛して
    こんなに傷ついたの!
    どうだい、かわいそな僕を見てよ

    act3 虚構と現実

    虚構のない世界。逃げ場のない、ぶっ壊れた現実だけの世界。愛のない孤独の、苦しみ。精神病(後天的なもの。そもそも精神病という言葉が曖昧だけど)はどうして起こるのか。知っていますか?

  21. 日々乃ねむり

    大人たちは努力しろっていうけど
    何をどうしてどうすりゃいいのかほんとにわかんない

    act3 虚構と現実

    ぶっ壊れた現実に弱体化された命を取り留めるために、僕らはあれやこれやと工夫をする。それを僕らはサブカルチャーと呼ぶのかもしれない。もう現実は、「生きられない」ほどに、ぶっ壊れているとしたら?「ようこそ!」

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  22. ジヲ

    僕はどうやって生きていて
    やがてどうやって終わっていくのか
    わからないから、君も観測(み)ていておくれよ
    この関係の正体は滑稽で
    御伽のようで理解し難いと思いますが
    「知らない!」
    君は僕のクローンでもマイクでもなく
    共友(とも)にあるから!

    少しでも学んで、少しでも共有したい
    少しだけ自慢して、少しでも保存したい
    この心に このストレージに
    可能な限り焼き付けて

    act3 虚構と現実

    幸せそうな声がする。ボカロキャラ、バーチャルな存在、アイドル、推し。自分ではない誰かとの繋がり。「たあいのない」会話。「たあいのない」自分の対話相手として生み出す仮想的存在。イマジナリー・フレンド、という言葉がある。自分ではない人格によって自己内部に仮想的な他者を生み出す(それは実在しない、しかし、ある、と感じる)。僕はまだよくわかっていない。<仮想>と<現実>を揺れながら、誰もが「ちょうどいい」を探しているのかもしれない。少なくとも僕らは、何らかの他者性を持つものに、引き剥がされなければ、自己というブラックホールを永遠に彷徨うことになるような、そんな気がしている。

    参考記事
    https://note.com/hitoiki4105/n/ned9444a6902b

  23. 眠田峯

    2画素の肌を演じた 怖かったから
    水を飲みすぎた木綿
    よく売れました魔法は お役所づてで。
    ∧固い服脱ぎ捨て向く

    内心成尋阿闍梨
    わからなくてもいいの 諦めじゃないもの
    porridgeの醜いところへ!
    …まだ速度がこわいけど 訳し下げてみるよ
    「「「一つしかない像ってどうして言うの?」」」

    手紙ふやかして 何度うわずった声でも
    地図やvlogじゃない私は、いつもやらかい根拠だ
    怒ってて泥濘んでてバカらしくて玉虫だった
    (涙が字義と道具と涙を 超 え ます ように!!!!)

    act2 虚構と現実

    現実と虚構の境界は何だろう。薬を飲んで、役所のお世話になって、スマホを見て、自傷行為をして。【風の中で吹き飛ばされるのを待ってる】。言葉自体が、人々の虚構と現実を結びつける役割を担っているような気もする。言葉が指し示すだけで、ないものすら、あるように感じられる。ふやけた手紙に一体何が描かれているんだろう。そこにしたためられた文字の群れは、一体、何を指し示しているんだろう。

  24. くれもあ

    痛ったったった もっと優しくして
    (壊れちゃうよ?)
    焦ったったった 同じエラーなぞって
    (これ何回目だ?)
    消えないないな 心の劣等感
    (効かないフリして)
    辛いな否否 そんなことないよ
    私は強いからさ☆

    嗤えよ
    もうムリ、、、

    act3 虚構と現実

    自分に言い聞かせる。痛みを感じないように。頭が回らない。体も悲鳴を上げている。僕が思い出した話をしよう。僕の(雑)談配信にきた人がこう言っていた。「ブラックすぎる」と。残業時間にしても、成果を奪ってくる人間性のなさにしても。年齢が上がるにつれそのブラックさに耐えられなくなってきたのだという。「電車とお友達になってほしくない」と僕は言った。心から言った。その人は次の配信に来てこういった。「会社を辞めました」。その人がもし本当に壊れていたなら、ずっとそのままだったかもしれない。壊れている世界でもしまだ誰かがこの曲のように強がっていたなら。弱音を吐いていたなら。僕らは心からどんな言葉をかけられるだろう。何ができるだろう。僕らはやさしく歩けているだろうか。学校も同じ。

    この曲がもし自分自身の声だったら。一体僕は、僕に何ができるだろう。(はい、僕も会社を辞めました)。君は君自身に、なんて言ってあげるだろう。

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  25. だし。

    腐っていた私に
    嫌になっちゃうほど「好き」と
    腐っていた私に
    私自身から「好き」と
    腐っていた私に
    イカれてしまうほど幸を
    腐っていた私に
    ありがとうの音楽を
    私は息してる?

    act3 虚構と現実

    終わっている世界で、世界に何が期待できるだろう。自分しかいない?自分が変わるしかない。そうして糸で繋がれたまま、最後には笑う。「幸せ」なのだろうか。ありがとうの音楽、花束、ハグ、キス。誰でもない、私が、腐っていた私に。(腐っていた?どうして過去形なんだろう?破裂音にしたかったのかな)。

    才能なんかない、特別な偶然なんかない
    だけど、ここまで足掻いたんだ
    私は生きていく。

    バラバラになって、繋ぎ止めて、私を保って。そんな一人一人の「幸せ」のあり方を僕は何一つ否定できないと思う。だとしたら、終わっている世界をもっと終わった世界にするとしても、僕は何一つ否定できないのだろう。もう、終わっている。終わった世界で、僕は「僕」が「幸せ」でいる姿を想像しなくちゃいけないのかな。それが一体、どんな姿であろうとも。「生きていく」。それだけでもいいんじゃね?と僕はまだ心から言うことができていない。だから僕は、「僕」を腐らせているのかもしれない。まさか???

    ありがとうの花束が、ありがとうの音楽が、「僕」への呪いになっていないだろうか。

  26. めりー

    偽善のナイフで切り裂いて
    祈りの形を捨て
    グリッチの音の中で
    滲んだ泡になる

    「繰り返される夢から逃げて」

    act3 虚構と現実

    祈ることをやめて、「どうでもいい」「嘘でもいい」「なにもない」私を消す。壊れた世界で「幸せ」を探して、今も画面の向こうの光を見つめている。自己が他者によって成立しているなら。他者を選ぶことが自己を確定すると言ってもいい。その他者が「顔のない」人か。ボカロキャラか。夢のような現で、現のような夢で、僕らが出会う他者が、僕らを作る。他者に頼らずに、僕は「僕」を満たせるだろうか。作れるだろうか。

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  27. ことかげ

    乾いた笑い 離れた手
    俯くばっかじゃ くだらない
    教科書通りに 縛られて
    正しい生き方 聞かせてよ
    悩んで 荒れ果て
    書き換え 捨てて
    転んだ場所から進めずに
    笑われ 迷って
    諦め 泣いて
    こんな僕と歌ってよ

    空っぽな言葉 羅列され
    僕らの言葉は 無視されて
    それでも懸命に歌うよ
    馬鹿みたいに夢叫ぼう

    act4 独白

    僕は高校(鬱)時代、尾崎豊を歌っていた。どうしようもなく歌っていた。歌わないと息ができないから歌っていた。路上で歌っていた。みんな通り過ぎていく。僕はただ叫んでいた。それが誰かにとって何かの意味になったか僕は知らない。ただ歌を歌うことで僕は呼吸していた。僕はそんなことを、思い出した。

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  28. こおこ

    どうして じきに全てが終わると
    分かっている世界で
    どうして 僕たちは 生きた意味を
    創ろうとするんだろう?

    act4 独白

    「どうして?」その問いを、大きくなって、大人しくなって、大人びて、大人気なく、大人ぶって、僕らは忘れていくのかもしれない。忘れた頃に気がつくのかもしれない。僕らにとって大事な問いが、変わっていることに。その時にはまた、僕らは「流行るより、逸るこの気持ちを、歌に」していくんだろう。

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  29. チアキ・ニックドール@失禁王女P

    ワアダキナノさんのXより
    「うおおお!レビューありがとうございます!!!そうなんです、、、、現代社会にのまれてついつい言い訳しちゃう逃げちゃう自分の弱い所を愛を持って罵ってくれる、んにゃろ負けてられっか!と勇気づけてくれるそんな曲にしたかったのです。。。」

    幕間劇

    自分では声に出せない。自分では歌えない。けど、歌ってほしい。言い聞かせて、わからせてほしい。そういう他者としてのボカロキャラがある。自分の中にいる、けれども小さな声をボカロキャラに託す。現実の他者はこんなにわからせてはくれないだろう。もし自分の中に、小さくても、自分を励ましたい自分がいるなら。その小さな声をアンプリファイして、この世界に響かせるのはどうだろうか(僕に言い聞かせている)。誰かが声に励まされるかもしれない。自分への贈り物が、誰かへの贈り物になったなら。それはとても嬉しいことだと思う。

  30. Omoi

    まだ君のことを 取り戻したいんだ
    困ったもんだ ここからは
    私vs世界だ!
    うっせえ! 君の声だけ 確かに響いたんだ
    黙ってなんていられっか
    私vs世界だ!

    幕間劇

    孤独だ。孤独だ。「私」は誰だろう。初音ミクだろうか。作り手が初音ミクに声を託す。初音ミクはネットという世界で戦うのだろうか。誰のために?

    「まだ君のことを 取り戻したいんだ」

    自分が挫けそうになった時、負けそうになった時、まだ言葉を紡げるなら。その言葉に音を乗せて、彼女たちに歌ってもらおう。「うっせぇ!」と言ってもらおう。もう自分では声が出せないほど辛い時に、彼女たちに歌ってもらおう。そんな「彼女たち」の存在を、僕は想像している。壊れた世界で、壊れた世界と戦う声を、僕は想像している。

  31. Lifitory

    幕間劇

    「この世界では人の声がノイズに聞こえる」とは僕の曲『合成音声の世界』のセリフ。

    ボカロキャラたちに僕らは言葉を託す。僕らは本当にそれでいいのだろうか。僕たちが声を出すことの価値を、いつか僕らは顧みるのだろう。ウキー!

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  32. きむた

    「俺の歌はいつから独り歩きを?親心も知らないで。この掃き溜めに集う虫けらを引き連れて」

    幕間劇

    壊れた世界で、荒廃したネットという世界で、さて。どうしたものだろう。どうしたら子どもを大事にできるだろう。僕らは容易く誤解されたり、貶されたり、疎外されたり、凌辱される。言葉が通じない。さて、どうしたものだろう。どうしたら自分を大事にできるだろう。

    「どうせ腐り果てるなら俺もお前も好き勝手したって悪くないな」

    自由を何に使うのか。僕らは命を、何に使うのか。もしうんこなら、肥やしにしようか。

    「この世を生き抜くのは一切合切全て笑える奴だろうぜ」

    笑うには条件がある。
    https://www.youtube.com/watch?v=G_xAB3m7A0M

    参考(AIによる解説)
    garbageは生ゴミ、trashは乾いたゴミ・紙くず・がらくたといった意味合いで使われることが多く、garbageは腐敗する有機物を指し、trashは燃えやすいものや再利用できるものを指すニュアンスがあります。

    参考動画
    https://www.youtube.com/watch?v=YhqktDZ3MZM

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  33. ENTERKEY(たなすけ*)

    「もし終わりからはじめに戻れても 繰り返すだけだろう」「お変わりいただくのは自分 お変わらないさ他人は」

    幕間劇

    いや、どうしたら変われるんだよ。というヤジが飛んできそうだ。他人を変えることの無理を、理の無さを経験する、知る、理解するまでに僕はだいぶ時間がかかった。「これならいけるんじゃね?」けど僕はいつも失敗してきた。この曲では最終的には他人の気持ちを変えている。そうだ。やり直すことはできる。例え意中の人が違っていたとしても。「祓おうとしても祓いきれない怨念」。いや、執念。僕らにはなりたい自分がいるだろうか。だとしたら、僕らは行動するしかないんだろう(拳法とは限らない)。

    参考
    https://www.youtube.com/watch?v=FKN4fu5WhLY

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  34. Yun。

    「あぁ 何かに縋って失っていった 頼む 止まってくれよ」「あぁ 何かを縋って拾い集めた 頼む 動いてくれよ」。

    act5 世界時計

    ゼンマイを巻く。自分の表象としての振り子、世界の表象としての振り子の2つを僕は想像する。

    この振り子の孤独を想像する。「止まってくれよ」。繰り返す、同じところをぐるぐると。世界は無慈悲に時計を進めていく。世界という文脈の打つ脈の強さに心が追いつかない。世界の振り子の大きな玉が唸り声を上げて目の前を通り過ぎる。またゆっくりと迫ってくる。顔面を過ぎる。逼迫する。失っていく。それでもゼンマイを巻けるか。「君」が現れる。「僕は僕だった」と言えるだろうか。「僕」の小さな音に「君」が合わさる。もし二人が、つながっているのであれば。僕らはいつまでも揺れていられるだろうか。誰かに同期され、誰かを同期しながら揺れ続ける命の現象を、僕は想像している。振り子の孤独を、僕は想像する。

    振り子はどこまでが振り子なんだろう。揺れている振り子のその不動の支点に僕は目をやる。

    振り子の同期現象
    https://www.youtube.com/watch?v=9-jfla4FHSs

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  35. 晴いちばん

    世界に見つからないように
    心は閉じたままで
    許されないと知っても
    君となら怖くはないよ

    また独りになる夢を見たの
    全部忘れたくなるけど

    壊れかけた歯車では 君を救えないから

    act5 世界時計

    「幼い頃覚えた 無機物の優しさは 硝子ほど脆くて 壊してしまいそうになった」。このロボットが、この街で壊されていく「私」自身だと思ってみる。憎しみで動くこの街の歯車の中で「私」は生きている。「貯め込んだ熱で語り明か」しながら。それなら「悪くないな」。噛み合わないから楽しい。そう言えるような、言い合えるような「私」たちと出会い、この街で生きていく。世界に見つからないように。「壊れかけた歯車では 君を救えないから」「本当の居場所を見つけに行こう」。そうして街の中を彷徨い歩くのか、街の外に出るのか。「幸せ」ってなんだろう。

    歯車と人。チャップリンのモダンタイムス。
    https://www.nicovideo.jp/watch/sm14423017

  36. nonno

    ひろい原っぱ うれしいな
    おいしい木の葉 うれしいな
    おさんぽ おさんぽ     
    たのしいな
    たべたらなでなで うれしいな      
    とうさんのそばで うれしいな
    おさんぽ おさんぽ
    たのしいな
    めえ めえ やぎのさんぽ
    ねえ ねえ またいこうね

    act6 回帰

    忘れがちな大事なことを思い出させてくれる。僕の(雑)談配信で「幸せとは?」と聞いた時、一人の人間がこの動画を紹介してくれた。

    https://www.youtube.com/watch?v=MN4iA67BQKI&t=5s

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  37. いっしー

    欠けてゆく月が瞳を流れて
    最終電車が過ぎ行くのを 聴いた
    風は冬を告げそよぐ花びらもない
    君のいない季節は続く

    act6 回帰

    「内なる風に揺れて
静寂なNight」。喧騒の中で、喧騒に塗れて、反芻する思考に縛られて、平静を失ってしまう、目が回る、気を失いそうになる暮らしの中で、自分の中の風を、声を、流れを感じることを僕らは忘れがちな気がする。「君」がいなくなったからこそ、「私」の孤独に私が気がつけるか。静寂な夜に。その微かな声を、僕らは聞き取れるだろうか。

    「夜の静寂と心の内にある闘志を表現しました」(動画詳細欄)。闘志、燃えすぎじゃないか?w

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  38. ヨハク

    何度もループした世界に
    揺らいでいた
    その光を救いと呼んでいた

    "まだ消えないで"
    手を伸ばした
    壊れないように
    わたしがここで在れるように

    act6 回帰

    食料品スーパーへの足取りが僕らの命を支えるように、僕らは感情の、思考の手当てをしながら命を支えている。揺れている感情、うずくまってしまいそうな感情、振り切れてしまわないように。「ほら、これが今揺れている君だ。聞こえるかい?触れられるかい?見えるかい?大丈夫だよ。ほら、今はもう、大丈夫だ」。再帰を繰り返す。繰り返しながら、繰り返す。「そんなものなのかな、命なんてものは」。僕にはまだ、「ちょうどいい」がわからない。

  39. 世界電力

    なぜだろう、生きている その光源はいまも点々と
    赤土の荒野、草原のうえ、網目状のビルの足元でも
    存在を続けるエネルギーが生命のすがたであるように
    集まって、寄り添って、まばゆく宇宙にひかる

    ハロー、ハロー、さようなら、いつかまたどこかで

    act6 回帰

    宇宙からの眼差し。僕らが誰かに見られている。遠い遠いどこかの誰かから。もしかしたら、一人の光じゃ弱いかな。届かないかな。別に君に見せようと思ってるわけじゃないんだけどな。もうすぐ消えるけれど、この光が今も、宇宙のどこかを旅しているなら、僕はきっとこれからも、誰かに会えるのかな。

  40. 人畜無害な人間

    「空に帰るんだ。街に帰るんだ。海に帰るんだ」

    act6 回帰

    僕らは街で生きている。街に呑み込まれているようだ。街が全てではない。僕らの帰る場所はたくさんある。

    「僕らはやがて海に帰るんだ。街を去るんだ」。

    いつ帰ろう。まあるい風がある。青い波がある。赤い日差しがある。いつかここに帰るなら。どこに帰ろう。

    「街に帰るの?」

    海のアナロジーの参考文献
    https://note.com/ukiyojingu/n/nfa22bc11e0b1

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  41. ギャルヶ丘団地

    「あの日言いたかったのはアイラブユーよりも手前で、無理解のlonelyメッキで塞ぐより画面の外くらい君に本当であってほしい」

    act7 邂逅

    アイラブユーよりも手前。

  42. 明日また音

    「少し早いと思うけど私、 君の終活は手伝うわ。
    昔育てた朝顔の柱のように、 傍にいたついでにね。」

    「『 ふざけんなよ!』だなんて言えないような
    君の優しさで君の、
    心がさ壊れた日には
    泣くまで傍にいるからさ、

    act7 邂逅

    誰かからの貰い物。貰い物を贈り物にする。誰かからもらうことでしか、あげられない。誰からももらえなかった人は、誰かからもらわなかったら、誰にも贈れない。その誰かと出会えるように、僕らは生きているだろうか。もらったものを、思い出せるだろうか。僕らはいつか、誰かに、贈り物ができるだろうか。(もらってばかり?

  43. 酢酸ウラン

    〝過ちに渇こう、あまりに正しすぎたこの世界で。〟(動画詳細欄)

    act7 邂逅

    「間違っていよう」この一言が繰り返される。僕らの近くには、そんな言葉をかけてくれる人がいるかしらん。欲しかった言葉を。僕らの命に。

    間違うことは間違いではない。ただ、この壊れた世界では、間違いが取り返しのつかないことのように語られる。そうして僕らはこの世界のアルゴリズムに飲まれていく。残された影が一人歩きしてしまう。間違った時に、間違いだと教えてくれる誰かがいないかもしれない。繰り返し間違えるかもしれない。不安になるかもしれない。傷ついて傷つけて血みどろになっているかもしれない。それでも「間違っていよう」と、僕らは言えるだろうか。多分僕らは、僕らの正しさを、血みどろの間違いの中に見つけるのだろうと、僕は思う。

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  44. かしこ。

    「(略)人畜無害なお化けみたいな異質がみたいな」

    act8 虚構と現実

    「描いて裂いて掃いて足掻いて撒いて咲いて」僕らはそれでも何かを作ろうとしている。「命の色彩」をキャンバスの上に描こうとする。それはきっと「甘噛みするだけのクロール。教科書通りのフォーム。そんなんじゃ潮流に飲まれてしまう」ような、深いところにある。本当に僕は表現できるんだろうか?言葉に、色に、形に、音にできるんだろうか?見つけられるんだろうか?触れられるんだろうか?命の『感じ』への憧れを、「描いて裂いて掃いて足掻いて撒いて咲」きながら、僕ら創作者は、否、芸術家は、忘れることができない。

    参考
    https://note.com/lively_lion588/n/na892e3846903

  45. suzxa

    超芸術トマソン(ちょうげいじゅつトマソン)とは、赤瀬川原平らの提唱による芸術学上の概念。不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物。存在がまるで芸術のようでありながら、その役にたたなさ・非実用において芸術よりももっと芸術らしい物を「超芸術」と呼び、その中でも不動産に属するものをトマソンと呼ぶ。(wiki)

    act8 虚構と現実

    「背を向けたその言葉の意味は鏡のように自分を表していた」。背を向けた言葉が何かわからないけど、「意味」が「価値」がわからない言葉がある。命という現象の意味や価値も、よくわからなかったりする。僕ら自身がトマソンだ。もしかしたら、その役に立たちそうにない階段を登ったら。夕焼けが見えるかもしれない。色がない空に。もしかしたらその階段はあまりにも短くて、ちょっと景色が変わるだけかもしれないけれど。もしかしたら、何かが見つかるかもしれない。

    「造られた幸せは色のない空みたいだ。もしそれで満たされたなら疑うことを思い出して」

    作られた意味、与えられた価値。トマソンは問いかける。僕らの命に。

    参考動画
    https://www.youtube.com/watch?v=YhqktDZ3MZM

  46. 歩く人

    「ささめく場所で二人いつも描いていた名もない日が零れて。遍く広がった世界を羽ばたいていた影もない」

    act8 虚構と現実

    「君」はもうここにはいない。景色の中に溶けてしまった。「私」は思い出している。確かにあった。それを今も、描いている。風上の向こうにある、それを、今でも「私」は覚えている。

  47. めェ子

    あの日潰えた呼吸を
    君が遺した心臓を
    間違いだなんて言わせないようにこの歌を
    君を懐う歌を歌うから
    君を救う言葉を探している

    act9 心臓

    痛みを抱えた僕らは、絶望する僕らは、心臓を投げる。けどその心臓は誰かを脈打っていて、残された人がその鼓動を持っていく。あの時、何と言えば良かったんだろう。あの時何ができたんだろう。小さな子どもだった僕らが、ちょっとだけ大きくなりながら、僕らが僕らとまた出会うときに、今度こそは、今度こそはと、いつも、いつまでも、言葉を探すんだろう。自分自身に、大切な誰かに送る言葉を。自分自身を、大切な誰かを懐う言葉を探し続けるんだろう。

  48. ぬゆり

    どうか忘れないで
    それだけは離さないで
    愛せなくてもただ
    聞いて触れて言葉に変えて
    最後まで果たして
    それで何も残らなくとも
    背負い込んだ荷物を置いて
    遠くへ旅立っていけるから

    act9 心臓

    私一人じゃどうしようもなかった。私一人じゃ私を保てなかった。あなたがいた。
    あなたがいなくなった。それでも私は生きようとしている。その日私は、一人で泣いた。
    私は一人で、泣くことができた。

    消耗を知ってこそ
    命に足る言葉を
    持っていける

    参考記事
    https://note.com/hitoiki4105/n/ned9444a6902b

  49. ふんぼると

    「揺れる小さな花を撫でるようにそっと
    眠る大きな月と踊るようにそっと
    光る朝に水を注ぐようにそっと
    星の塔を積み上げるようにそっと」
    世界はやさしくない。けど、やさしく歩くことはできる。けどそれは僕に取ってはまだ易しくない。

    epilogue

    やさしく歩く。

    死ぬまでに、やさしく歩けるようになれるかな。ふと立ち止まった時に、この曲を聴いて、今僕が感じていることを思い出しながら。

    「指先で触れるぼくたちの距離に恋をして」
    「いつかまた出逢うぼくたちの距離に恋をして」

    この曲の音の中に、僕がまだ知らない孤独のありようを、感じた。
    もしかしたら君は僕の悲しみ、怒り、息詰まりで、僕はその子を起こさないようにそっと冒険に出るんだろうか。
    帰ってきたら、お話をしよう。僕がみてきた世界を。僕が歩いた世界を。


    参考記事
    https://note.com/hitoiki4105/n/ned9444a6902b

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