1. Towa

    プロローグ。夏未満の位置から見ているときの期待感たち

  2. 椎乃味醂

    夏至。
    昔話、夏の遊びの約束はいつも何かの大作戦みたいに思えたこと。そういうとき、大抵、子供心ながらに控えめで強烈な高揚感があった

  3. Saku

    半夏生。
    煌めき照り映える夏の風景、その魔性と祈り。今、あなたに届きますように

  4. アヒルの天ぷら

    七夕。
    天の川から星が降る、艶やかなりんごあめを頬張る。プラトニックが確かに生きていたあの頃に、目を輝かせて見ていたものの残滓がここにある

  5. ZEROKU

    小暑の暮れ、夜祭。
    花火が上がるときの高揚と、祭の放つ夜光を遠目に見るときの静けさ。夏の夜半は、白昼とは異なる熱を帯びる気がする

  6. サノカモメ

    夜祭の延長線上。
    弾ける火薬の音と同期する。線香花火の寿命のうちにだけ訪れる、思慮や不安をめぐらせるだけの余白

  7. ゆこぴ

    鷹乃学習、その一幕。
    列挙、存在したような出来事たち。想起するのは、緩く穏やかに進む長い一日のことだった気がする

  8. 死んだ眼球

    大暑、某日。
    思春期の鬱屈たちに押されて、熾烈な晴天の下を疾走したこと。衝動的に胸を揺さぶる何かを体感する

  9. 螟上?邨ゅo繧

    大暑、逡ー逡後∈縺ョ蜈・蜿」。
    暑中見舞いに書かれていたのは「貴様を夏に引きずり込む」との文言。夏という概念は、およそ物の怪の腹中にも似ている

  10. 油屋大繁盛

    旧盆。
    後悔や割り切れなさとの対峙。墓参りのとき、この音像のようにぐしゃぐしゃと息が詰まる感情をこそ、弔いの本懐だと思う

  11. SeA0/アオトケイ

    処暑。
    透明で純粋な言葉を伝えるには、与えられた時間が余りにも短い季節。暑気と共に去りゆくものは数知れず

  12. 園端石

    思索、回想。
    アンニュイな冷涼感や、面影ばかりが温度感を失った素振りをすることも、また夏の表情のひとつ。停止と継続の境目

    そうして夏が止まってしまった。

  13. AUTO中枢

    八月末日。
    時間の流れから浮いたように、独り残されるような感覚。暑気に、蝉噪に、或いは離別にうんざりしながらも、手放しがたいからこそ

  14. *Luna

    ──。
    葉月のモラトリアム、或いはアディショナルタイム。終わらないように、という儚げな願望と盲目

  15. ぶるーむ

    ──。
    永遠をバグで繋ぐ。永すぎる夏は、多分、何かを致命的に欠いた虚しいものだろうけれど。

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  16. 夜風見

    拙作、エピローグ。記憶上、もう殆ど記号となったものたちを想う

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