待機曲。
このツアーは2025年3月に開催されたキタニタツヤのライブ『ANGEL WHISPERING』を受けて作成されたツアーです。
このライブの表題曲である『ウィスパー』は、いつも私たちの耳元で弱音を上書きしてくれる音楽を、天使のささやきに準えて歌った楽曲です。

今回はそんな音楽像にマッチした楽曲たちを聴いていきます。

ささやくような歌声で語りかけてくるような曲です。話に耳を傾けてくれる天使の姿が思い浮かびます。

『絶対に笑ったりしないから　話してみませんか』

つらい感情を表に出したいとき、この音楽は24時間繋がるダイヤルとして存在してくれていると思います。

歌詞が弱音を上書きしてくれるのはもちろんですが、爽やかな音で気分を上向かせてくれるのも音楽のありがたいところですね。

つらさを代弁してくれるような音楽だけではなく、勇ましく励ましをくれる音楽もあります。天使にも色々なキャラクターがいて楽しいです。

音楽が天使のささやきなのだとすれば、初音ミクは天使そのものでしょう。
天使たる初音ミクが手を差し伸べてくれる様子を描いた曲です。

遍く存在しいつでも傍にいてくれる音楽たちは、これまた遍在する愛によって輪郭が作られています。
初音ミクはそんな遍在の象徴といえると思います。

同じ主題が続きますが、遍在する初音ミクの姿を描いた映画から1曲。
天使の歌声は間違いなく届いています。

劇場版プロジェクトセカイに私たちの初音ミクとのかかわり方を投影したように、空想に現実を投影することで、空想からより強い力を得ることが出来ます。
この曲は、空想の世界と現実の垣根を払い、空想の力を増幅させてくれる曲だと思います。

電車で隣に乗っている人にもそれぞれの空想の世界があることを想像すると、愛おしい気持ちになりませんか！？
現実を彩る天使は、人の数だけいるはずです。

音楽や映像だけではなく、文学にもまた海のような包容力があります。誰かが綴った空想の中を泳ぐ暖かさを描いた曲です。

空想の世界は、いつも変わらずに接してくれるところに魅力があります。

小さな人間の身体にも、味気ない世界を書き換えてしまう空想の力を宿すことが出来るのだと感じ入ります。
文学の世界に閉じこもる少女（少女 in the 文学）というタイトルではなく、少女の頭の中にある文学（文学 in the 少女）というタイトルなのが良いですね。

音楽、映像、文学、あるいは空想まで。
必ずしも明るくはない現実を生きる私たちに向けて、あらゆるフィクションからの優しいささやきが聞こえてきます。

『さめないゆめを　みたくはないかい』