1. 呆 Akire

    「あなたがバイパスしているチャンネルがこの提起で開くことを期待する」

    prologue

    音楽体験の話。

    人が変われば曲の聞こえ方も変わる。今、今このときに、聴き方を変えることができるだろうか。変調と祈りの物語というチャンネルをこのプレイリストに込める。あなたが持っているフィルターを超えて、いつもと違った音楽体験をあなたに提供することを、僕はこのプレイリストに期待している。

    参考プレイリスト
    https://kiite.jp/playlist/vriXWEedit

  2. 芥田レンリ

    あ 咲いた花が枯れて 地面に還るとき
    番えない私は何を残せる?
    これが最後になるのなら 貴方に伝えれば
    なんて願うことも これでおしまいね

    act1 消失

    鳴り続ける遮断機の音。

    貴方を「私」として僕はこの曲を聴いてみる。私はもういらないのね?「私」にとって私は歪んでいて、歪で、「私」は私を必要としていない。私は異常で、美しい「私」にはいらない存在。

    私痛みには強いはずなんだ それでも名残惜しいの
    悲しくないとさ 信じていたいの いたいの いたいの
    私幸せの意味を貴方に大事に託したいの
    いつかは貴方に届くように 願いながら空を舞うの

    「私」は幸せなんだろうか。私は「私」の幸せを願っている。

  3. 園端石

    いいの
    いいの
    ただ赦そう
    また赦そう
    いいの
    いいの
    爪先から
    私から
    通り過ぎていく
    霧になってく
    目を、離さないで。

    act1 消失

    自己ー他者の関係性を自己ー自己に置き換える作業をしている。僕はどうしても自分の欠落した部分を他者に補ってもらおうとする。その切実さが、他者を困らせる。僕はまだ僕にできることがあると思う。
    苦しんでいるのは私であって、私を見ている私は私の手を離してしまえば私は苦しみ続ける。僕はそうやって僕を見殺しにしてきた、通り過ぎてきたとしよう。もう一人の僕の声を、僕はこの曲に聞く。

  4. さらね / Sarane

    花を摘むたび 風は遙かを遠くを指し
    その先には 静謐に光る水面があった 
    揺れる花弁が 指の隙間から
    ひとつ またひとつ
    水脈へと吸い込まれていく

    act1 消失

    オーフィリアがモチーフになっているこの曲、まずは『ハムレット』に関心を持ってみてほしい。主人公のハムレットの孤独、狂った世界。オーフィリアの祈り。それぞれの人物がそれぞれのオモイを持って生きている。

    誰かの理想論が 机上の空論に散ってゆくのは
    私の祈りだと気づいていたんだろう

    誰かの理想論が誰かを傷つける。誰も傷つかない、誰も苦しまない世界を彼女は望んでいたのだろうか。その希望の大きさに絶望したのだろうか。兄レアティーズが墓地でオーフィリアの墓穴に入りこう叫ぶ。

    この土よ、しばし止まれ!
    もう一度この腕に妹を抱かせてくれ。
    さあ、墓よ、生きた者と死んだ者とを一つに埋めてくれ、
    そしてこの平らな地に、山を築きあげるのだ。
    ペリオンの山を越え、青きオリンポスの頂をも越えるほどに!

    一人の人間の死が、墓石などではない、山となるほどの意味を持っている。その直後、レアティーズはハムレットに呪いの言葉を浴びせる。「お前が、オーフィリアを殺したんだ」と。オーフィリアの祈りは届かない。水脈に、大きな流れに飲まれて、溶けてしまう。レアティーズはハムレットを恨む。そうして繰り返していく。

    汚れた街に泪の音を
    遠く、痛み、聴く。

    聞こえるだろうか。

  5. marasy

    「ケツに火がつかなきゃわかんないか。そっか」

    幕間劇

    こんにちは。僕はお猿さんです。ウキー!いや、猿以下でしょう。

    人間になるにはどうしたらいいでしょうか。僕はまだよくわかっていません。
    ケツに火がついてもどうしたらいいかわからないんです。ウキー
    でもいろんな人がくれた言葉をヒントに僕なりになんとかしようとしてるんです。ウキー
    もう少し時間をください。ウキー
    できれば長めに待ってください。ウキー

    はいはいはいはいはい

  6. suzxa

    超芸術トマソン(ちょうげいじゅつトマソン)とは、赤瀬川原平らの提唱による芸術学上の概念。不動産に付属し、まるで展示するかのように美しく保存されている無用の長物。存在がまるで芸術のようでありながら、その役にたたなさ・非実用において芸術よりももっと芸術らしい物を「超芸術」と呼び、その中でも不動産に属するものをトマソンと呼ぶ。(wiki)

    act2 虚構と現実

    「背を向けたその言葉の意味は鏡のように自分を表していた」。背を向けた言葉が何かわからないけど、「意味」が「価値」がわからない言葉がある。命という現象の意味や価値も、よくわからなかったりする。僕ら自身がトマソンだ。もしかしたら、その役に立たちそうにない階段を登ったら。夕焼けが見えるかもしれない。色がない空に。もしかしたらその階段はあまりにも短くて、ちょっと景色が変わるだけかもしれないけれど。もしかしたら、何かが見つかるかもしれない。

    「造られた幸せは色のない空みたいだ。もしそれで満たされたなら疑うことを思い出して」

    作られた意味、与えられた価値。トマソンは問いかける。僕らの命に。

    参考動画
    https://www.youtube.com/watch?v=YhqktDZ3MZM

  7. だし。

    腐っていた私に
    嫌になっちゃうほど「好き」と
    腐っていた私に
    私自身から「好き」と
    腐っていた私に
    イカれてしまうほど幸を
    腐っていた私に
    ありがとうの音楽を
    私は息してる?

    act2 虚構と現実

    終わっている世界で、世界に何が期待できるだろう。自分しかいない?自分が変わるしかない。そうして糸で繋がれたまま、最後には笑う。「幸せ」なのだろうか。ありがとうの音楽、花束、ハグ、キス。誰でもない、私が、腐っていた私に。(腐っていた?どうして過去形なんだろう?破裂音にしたかったのかな)。

    才能なんかない、特別な偶然なんかない
    だけど、ここまで足掻いたんだ
    私は生きていく。

    バラバラになって、繋ぎ止めて、私を保って。そんな一人一人の「幸せ」のあり方を僕は何一つ否定できないと思う。だとしたら、終わっている世界をもっと終わった世界にするとしても、僕は何一つ否定できないのだろう。もう、終わっている。終わった世界で、僕は「僕」が「幸せ」でいる姿を想像しなくちゃいけないのかな。それが一体、どんな姿であろうとも。「生きていく」。それだけでもいいんじゃね?と僕はまだ心から言うことができていない。だから僕は、「僕」を腐らせているのかもしれない。まさか???

    ありがとうの花束が、ありがとうの音楽が、「僕」への呪いになっていないだろうか。

  8. めりー

    偽善のナイフで切り裂いて
    祈りの形を捨て
    グリッチの音の中で
    滲んだ泡になる

    「繰り返される夢から逃げて」

    act2 虚構と現実

    祈ることをやめて、「どうでもいい」「嘘でもいい」「なにもない」私を消す。壊れた世界で「幸せ」を探して、今も画面の向こうの光を見つめている。自己が他者によって成立しているなら。他者を選ぶことが自己を確定すると言ってもいい。その他者が「顔のない」人か。ボカロキャラか。夢のような現で、現のような夢で、僕らが出会う他者が、僕らを作る。他者に頼らずに、僕は「僕」を満たせるだろうか。作れるだろうか。

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  9. ジヲ

    僕はどうやって生きていて
    やがてどうやって終わっていくのか
    わからないから、君も観測(み)ていておくれよ
    この関係の正体は滑稽で
    御伽のようで理解し難いと思いますが
    「知らない!」
    君は僕のクローンでもマイクでもなく
    共友(とも)にあるから!

    少しでも学んで、少しでも共有したい
    少しだけ自慢して、少しでも保存したい
    この心に このストレージに
    可能な限り焼き付けて

    act2 虚構と現実

    幸せそうな声がする。ボカロキャラ、バーチャルな存在、アイドル、推し。自分ではない誰かとの繋がり。「たあいのない」会話。「たあいのない」自分の対話相手として生み出す仮想的存在。イマジナリー・フレンド、という言葉がある。自分ではない人格によって自己内部に仮想的な他者を生み出す(それは実在しない、しかし、ある、と感じる)。僕はまだよくわかっていない。<仮想>と<現実>を揺れながら、誰もが「ちょうどいい」を探しているのかもしれない。少なくとも僕らは、何らかの他者性を持つものに、引き剥がされなければ、自己というブラックホールを永遠に彷徨うことになるような、そんな気がしている。

    参考記事
    https://note.com/hitoiki4105/n/ned9444a6902b

  10. いおぎりょう

    「手に入れるものすべてが無価値なのはなぜか。叶えたい夢は見失ってしまった。お前の耳元で囁く何か。その影が俺を妬いて食い尽くす」

    act3 影

    誰かに造られた影。何に?この壊れた世界が作り出したアルゴリズムが生み出す影。誰かが規定してくる自分。「それに何の価値があるの?」靴が泥まみれになるまで歩き続ける。それでも影はついてくる。青く燃える炎にほだされて浮かび上がる。これで良かったのか?過去を失って?(サンクコストが絡んでいる)。

    「俺の影は過去に縋り泥の靴はそれを蹴るのさ」

    SOMBRA ROJAは英訳するとRED SHADOWらしい。うりゃーーーーー!!!!!!!

    参考動画
    https://www.youtube.com/watch?v=WlFf-xqa8ic

  11. dama

    さようなら 影の中の光
    ありがとう 光の中の影
    天国への切符を犠牲にしてでも
    知りたいことがあっただけさ

    act3 影

    虚しい。意味がない。どうして生きている?僕はそんなことを高校(鬱)時代に「考えて」いた。今日まで生きてわかったことがある。天国に行こうとして、僕は転げ落ちたのだった。もう天国なんて僕は行こうと思わなかった。僕にはもうそれに、意味を見出せない。だったら今、どうして生きているんだろう。

    たった一つだけでいいから
    意味のない物語に意味が生まれていれば
    他には何も要らなかった

    あの汚い海を見ようって言ったから
    その日まで生きている
    そういう糸が連なってるだけさ

    意味がなくても、価値があるなら。僕らは生き続けて、最後に、命の意を味わえたらいい。僕は今、そんなふうに「感じて」いる。

  12. チアキ・ニックドール@失禁王女P

    ワアダキナノさんのXより
    「うおおお!レビューありがとうございます!!!そうなんです、、、、現代社会にのまれてついつい言い訳しちゃう逃げちゃう自分の弱い所を愛を持って罵ってくれる、んにゃろ負けてられっか!と勇気づけてくれるそんな曲にしたかったのです。。。」

    幕間劇

    自分では声に出せない。自分では歌えない。けど、歌ってほしい。言い聞かせて、わからせてほしい。そういう他者としてのボカロキャラがある。自分の中にいる、けれども小さな声をボカロキャラに託す。現実の他者はこんなにわからせてはくれないだろう。もし自分の中に、小さくても、自分を励ましたい自分がいるなら。その小さな声をアンプリファイして、この世界に響かせるのはどうだろうか(僕に言い聞かせている)。誰かが声に励まされるかもしれない。自分への贈り物が、誰かへの贈り物になったなら。それはとても嬉しいことだと思う。

  13. 酢酸ウラン

    〝過ちに渇こう、あまりに正しすぎたこの世界で。〟(動画詳細欄)

    幕間劇

    「間違っていよう」この一言が繰り返される。僕らの近くには、そんな言葉をかけてくれる人がいるかしらん。欲しかった言葉を。僕らの命に。

    間違うことは間違いではない。ただ、この壊れた世界では、間違いが取り返しのつかないことのように語られる。そうして僕らはこの世界のアルゴリズムに飲まれていく。残された影が一人歩きしてしまう。間違った時に、間違いだと教えてくれる誰かがいないかもしれない。繰り返し間違えるかもしれない。不安になるかもしれない。傷ついて傷つけて血みどろになっているかもしれない。それでも「間違っていよう」と、僕らは言えるだろうか。多分僕らは、僕らの正しさを、血みどろの間違いの中に見つけるのだろうと、僕は思う。

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  14. ヨハク

    何度もループした世界に
    揺らいでいた
    その光を救いと呼んでいた

    "まだ消えないで"
    手を伸ばした
    壊れないように
    わたしがここで在れるように

    act4 回帰

    食料品スーパーへの足取りが僕らの命を支えるように、僕らは感情の、思考の手当てをしながら命を支えている。揺れている感情、うずくまってしまいそうな感情、振り切れてしまわないように。「ほら、これが今揺れている君だ。聞こえるかい?触れられるかい?見えるかい?大丈夫だよ。ほら、今はもう、大丈夫だ」。再帰を繰り返す。繰り返しながら、繰り返す。「そんなものなのかな、命なんてものは」。僕にはまだ、「ちょうどいい」がわからない。

  15. 世界電力

    なぜだろう、生きている その光源はいまも点々と
    赤土の荒野、草原のうえ、網目状のビルの足元でも
    存在を続けるエネルギーが生命のすがたであるように
    集まって、寄り添って、まばゆく宇宙にひかる

    act4 回帰

    ハロー、ハロー、さようなら、いつかまたどこかで

    ーーー

    宇宙からの眼差し。僕らが誰かに見られている。遠い遠いどこかの誰かから。もしかしたら、一人の光じゃ弱いかな。届かないかな。別に君に見せようと思ってるわけじゃないんだけどな。もうすぐ消えるけれど、この光が今も、宇宙のどこかを旅しているなら、僕はきっとこれからも、誰かに会えるのかな。

  16. 人畜無害な人間

    「空に帰るんだ。街に帰るんだ。海に帰るんだ」

    act4 回帰

    僕らは街で生きている。街に呑み込まれているようだ。街が全てではない。僕らの帰る場所はたくさんある。

    「僕らはやがて海に帰るんだ。街を去るんだ」。

    いつ帰ろう。まあるい風がある。青い波がある。赤い日差しがある。いつかここに帰るなら。どこに帰ろう。

    「街に帰るの?」

    海のアナロジーの参考文献
    https://note.com/ukiyojingu/n/nfa22bc11e0b1

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  17. ギャルヶ丘団地

    「あの日言いたかったのはアイラブユーよりも手前で、無理解のlonelyメッキで塞ぐより画面の外くらい君に本当であってほしい」

    act5 邂逅

    アイラブユーよりも手前。

  18. 明日また音

    「少し早いと思うけど私、 君の終活は手伝うわ。
    昔育てた朝顔の柱のように、 傍にいたついでにね。」

    「『 ふざけんなよ!』だなんて言えないような
    君の優しさで君の、
    心がさ壊れた日には
    泣くまで傍にいるからさ、

    act5 邂逅

    誰かからの貰い物。貰い物を贈り物にする。誰かからもらうことでしか、あげられない。誰からももらえなかった人は、誰かからもらわなかったら、誰にも贈れない。その誰かと出会えるように、僕らは生きているだろうか。もらったものを、思い出せるだろうか。僕らはいつか、誰かに、贈り物ができるだろうか。(もらってばかり?

  19. めェ子

    あの日潰えた呼吸を
    君が遺した心臓を
    間違いだなんて言わせないようにこの歌を
    君を懐う歌を歌うから
    君を救う言葉を探している

    act6 心臓

    痛みを抱えた僕らは、絶望する僕らは、心臓を投げる。けどその心臓は誰かを脈打っていて、残された人がその鼓動を持っていく。あの時、何と言えば良かったんだろう。あの時何ができたんだろう。小さな子どもだった僕らが、ちょっとだけ大きくなりながら、僕らが僕らとまた出会うときに、今度こそは、今度こそはと、いつも、いつまでも、言葉を探すんだろう。自分自身に、大切な誰かに送る言葉を。自分自身を、大切な誰かを懐う言葉を探し続けるんだろう。

  20. ぬゆり

    どうか忘れないで
    それだけは離さないで
    愛せなくてもただ
    聞いて触れて言葉に変えて
    最後まで果たして
    それで何も残らなくとも
    背負い込んだ荷物を置いて
    遠くへ旅立っていけるから

    act6 心臓

    私一人じゃどうしようもなかった。私一人じゃ私を保てなかった。あなたがいた。
    あなたがいなくなった。それでも私は生きようとしている。その日私は、一人で泣いた。
    私は一人で、泣くことができた。

    消耗を知ってこそ
    命に足る言葉を
    持っていける

    参考記事
    https://note.com/hitoiki4105/n/ned9444a6902b

  21. ふんぼると

    「揺れる小さな花を撫でるようにそっと
    眠る大きな月と踊るようにそっと
    光る朝に水を注ぐようにそっと
    星の塔を積み上げるようにそっと」
    世界はやさしくない。けど、やさしく歩くことはできる。けどそれは僕に取ってはまだ易しくない。

    epilogue

    やさしく歩く。

    死ぬまでに、やさしく歩けるようになれるかな。ふと立ち止まった時に、この曲を聴いて、今僕が感じていることを思い出しながら。

    「指先で触れるぼくたちの距離に恋をして」
    「いつかまた出逢うぼくたちの距離に恋をして」

    この曲の音の中に、僕がまだ知らない孤独のありようを、感じた。
    もしかしたら君は僕の悲しみ、怒り、息詰まりで、僕はその子を起こさないようにそっと冒険に出るんだろうか。
    帰ってきたら、お話をしよう。僕がみてきた世界を。僕が歩いた世界を。

    参考記事
    https://note.com/hitoiki4105/n/ned9444a6902b

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