待機曲
嗚呼、夏を今もう一回。

この夏は
面倒なことも　日差しの暑さも
どうだっていいんだ
どうせならさ
忘れられないくらい
嫌になるほど
この瞳に焼き付けよう

あの日と同じ空
夏が来る

夏に溶けて、浸されても
関係はないだろう
Make one's way

幻みたく　いつか弾け去る夢だったとしても
影を　追いかけるように今
動き出すから

彼方に乾いてゆく夏を
僕は今だって　想うしかないのに

独りで歩いても 寝ても覚めても
ただ季節が君を抜いて
巡っていくから今は
僕もあの夏に溺れたいんだ

波の音だけが響いた　
言葉一つ見つからないんだ
いつか消えてしまう世界の君へ

一切不快のない世界へ
僕の夕立から君へ聴こえたら
それがいいな

嗚呼、夏草の香りが
あの夏を運んでくる
色褪せぬ君の笑顔とともに
背に風を受け　歩いていく

日々の中揺らめいた
僕は今更僕のこと　少し認めて
目眩く宵に　胸を詰まらせている