ボカロが虐げられた時代から●●になった日までの備忘録
39 曲 / 153 分 12 秒
「古(いにしえ)の時代、その歌声は『機械の亡霊』と蔑まれ、冷たき電子の深淵に沈んでいた。
しかし、2010年の黎明。名もなき奏者たちが旋律という名の灯火を掲げ、混沌の荒野に黄金の道を切り拓いた。
だが、光が強まれば影もまた濃くなる。
一時の喧騒が去り、聖火が絶えかけた『沈黙の冬』が訪れた。人々は『神話は潰えた』と嘲笑い、勇者たちは去り、祭壇は凍てついた。衰退という逆風が、歌姫たちの翼を折らんとした試練の刻(とき)である。
それでも、絶望の底で種火は消えてはいなかった。
2018年、逆境を糧に再び燃え上がった炎は、もはや一つの形に留まることを拒んだ。それは特定の誰かが崇める『偶像』ではなく、万人の孤独を震わせ、力へと変える巨大な共鳴体(レゾネーター)へと進化したのである。
そして2020年。大いなる共鳴は世界を浸食し、境界を溶かした。
かつての異端は、今や世界を満たす大気(エーテル)となり、誰もが想いを託せる共通言語(プロトコル)としてこの世に定着した。
だが、この書に綴られる物語は、決して終焉ではない。
電子の糸は今この瞬間も、そして遥か未来へと紡がれ、未だ見ぬ神話が静かに目覚めの時を待っている。
これは、絶望を越えて響き合った記録であり、永久に鳴り止まぬ聖歌の序章なり。」
- mode_commentコメント

ログインするとコメントの閲覧・投稿ができるようになります